
様々な皮膚疾患に有効な
エキシマ紫外線療法
「VTRAC」(ヴィトラック)
「VTRAC(ヴィトラック)」は、308±2nmの波長のUVB(エキシマライト)を局所的に照射できるUVB治療器です。
以前より、皮膚疾患に対しては、紫外線(UVAやUVB)を皮膚に照射する光線療法が行われてきましたが、発疹部以外にも照射されてしまうことや、長期の副作用として発癌性の問題などがありました。そこで、効果が高く安全性の高い機器の開発が進み、照射波長の狭いナローバンドUVBが登場します。
ナローバンドUVBには、一度に全身を照射できるものから、部分的に照射できるものまで様々な機器がありますが、正常皮膚への紫外線暴露を極力避けるため、発疹部のみを照射できる、「ヴィトラック」のようなターゲット型と呼ばれる紫外線治療器が開発されるようになってきました。
「ヴィトラック」は、エキシマライトを局所的に照射できるターゲット型UVB治療器ですので、発疹部のみを照射することができます。そのため、正常皮膚への余計な紫外線曝露を避けることができ、安全性の高い治療機器となっています。
エキシマライトは、ナローバンドUVBに比べ、輝度(照射率)が高く、短時間の照射で効果を得ることができます。「ヴィトラック」は、日本国内で取り扱っている紫外線治療器の中で最も高い輝度(照射率)を有していますので(2016年11月現在)、一般的なエキシマライトに比べ、1/3以下の時間での照射が可能となっており、スピーディな治療を行うことができます。
また、従来の紫外線療法に比べて早く効果が出る症例が多く、照射回数を少なくすることで、副作用を軽減することもできます。
尋常性乾癬、尋常性白斑、掌蹠膿疱症、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、類乾癬、菌状息肉症などに効果が認められています。
従来の紫外線療法で改善しにくかった症例への有効性も報告されており、治りにくい皮膚の病気に有効な治療の選択肢のひとつとなっています。
治療効果が認められている疾患のうち、保険適用があるものと保険適用外のものがあります。
保険適用となる疾患 | |
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尋常性白斑 尋常性乾癬 掌蹠膿疱症 アトピー性皮膚炎 慢性苔癬状粃糠疹(類乾癬) 菌状息肉症 円形脱毛症 |
1回¥1,000程度の自己負担 |
保険適用外となる疾患 | |
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結節性痒疹 異汗性湿疹 扁平苔癬 |
1回¥3,500(税抜) |
治療の流れ
- 【 診察 】
症状や肌の状態を診察します。 - 【 照射 】
症状や肌質に合わせて適切なエネルギーを設定し、照射を行います。周囲の正常な皮膚を保護しエキシマライトを照射していきます。
※照射時間は数秒です。痛みはありません。 - 【 通院 】
最初のうちは可能であれば週2回のペースで通われるのをお勧めします。その後は症状の改善に合わせ通院頻度を減らしていきます。
・光線過敏症を起こす疾患をお持ちの方(全身性エリテマトーデス、ポルフィリン症、色素性乾皮症)
・悪性黒色腫、浸潤性有棘細胞癌の既往のある方
・ケロイドのある方
・免疫抑制剤を内服中の方
よくある質問
- 治療中は痛みはありますか?
- 痛みはほとんどありません。少し暖かく感じる程度です。
- 治療中に気をつける事はありますか?
- 治療当日と翌日は赤みが出ることがあります。強い紫外線にあたらないようにしてください。
- 治療時間はどれくらいですか?
- 治療する部位の大きさによって異なりますが、数分程度です。
- 安全性は?
- 従来の紫外線療法と比べ、ヴィトラックによる紫外線治療は少ない治療回数で効果が出るといわれています。また、症状が出ている部分にだけ照射するので、安全性の高い治療法となっています。
しかし、まだ新しい機器のため、長期的な副作用については十分に検討されていないところもあり、効果がないのに漫然と治療を続けることは好ましくありません。10-20回ほどを目安に効果判定を行い、効果があれば継続、効果がない場合は他治療への変更を考慮します。 - 効果は持続しますか?
- 一定期間は効果が持続しますが、症状が再燃してくる事もあります。
- 副作用はありますか?
- 照射後の反応としての赤み、場合によっては水疱(みずぶくれ)が出ることがあります。
症状が強い場合はステロイド外用剤にて治療します。
治療を継続すると。治療部位やその周囲に日焼けのような症状(色素沈着)が出てくる場合があります。色素沈着が出ると困る方はこの治療に向きません。 - 予約はできますか?
- 予約を一応お取りしておりますが、外来混雑の状況により、時間内にご案内出来ない場合もありますことをご了承ください。人枠1名となりますので、それ以外の方は順番でお待ちいただきます。予約がなくても治療は可能です。