皆さんこんにちは。秋葉原スキンクリニックの堀内です。
皆さんはふと自分の体臭が気になったことってありませんか?
・周りの人にニオイがバレるのではないか・・・。
・ニオイのせいで社交的になれない。
・みんなが自分を見ている気がする。
・薄着になれない。
などと悩んだことがある方。
自分の体臭に関しての悩みは、なかなか友達にも打ち明けづらく、自分一人で抱え込んでいることが多いものです。私の外来にも非常に悩みが深く、ついには対人恐怖症になってしまっている方もいらっしゃることがあります。ニオイが気になって活動的になれなかったり、人と会うことが怖くなったり、おしゃれが出来なかったり。
そんな方々の悩みを少しでも解決して、晴れやかな生活が送れるよう祈りを込めて今回はお話をさせていただきたいと思います。
ワキガっていったいなに?
ワキガは「腋臭症(えきしゅうしょう)」とも呼ばれる体質的な臭いです。独特のツンとしたニオイが特徴で、いわゆる汗臭い臭いとは異なります。
ワキガの原因は、ずばり「アポクリン汗腺から出る汗」。
カラダから汗を外に出す分泌腺には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という2種類があることをご存知ですか?
ヒトは運動や風邪を引いて体温が上がった時、全身に存在する「エクリン汗腺」から塩分などが含まれた水分を体外に排泄し体温を下げます。通常、このエクリン汗腺はすべてのヒトの全身に分布しています。
これとは別に、外耳道(耳の中)、脇の下、乳首周囲、へそ周囲、股などのみに存在する汗腺があります。それが「アポクリン汗腺」です。この汗腺の量や質は個人差が大きく、遺伝的な体質として受け継がれます。
「アポクリン汗腺」から出る汗は、体温調節用の汗の成分とは異なり、タンパク質や脂質を含みます。その汗が皮膚に存在する常在菌により分解されると独特の臭いを発するようになります。このニオイが強くなった状態を「ワキガ(腋臭症:えきしゅうしょう)」と呼びます。
実は「ワキガ体質」=「ワキガ」ではありません。
体質を持っていても、あまり体臭が強くない方もいます。様々な悪化要因が重なるとニオイが強くなり「ワキガ」を発症します。
ワキガは生まれつきなの?
ワキガ体質は先にもお伝えしましたが、遺伝的なものですので、その体質は生まれつき。と言っても良いと思います。日本人の10%程度、欧米では70%〜80%以上の方にワキガ体質があるとも言われています。
耳垢がジメッとしているとその体質がある目印です。赤ちゃんの頃から耳の中のアポクリン腺は発達しているため、ワキガになりやすい体質かどうかはだいたい予測できます。(ただし赤ちゃんの時から臭いがある人はいません。)
ワキガの臭いが気になってくるのは、ちょうど脇の毛が生え始めたころ。いわゆる二次性徴が始まる頃からです。
早いお子さんでは小学校高学年くらいから徐々にニオイが気になりだします。中学生、高校生と二次性徴が進むに連れてアポクリン腺の活動が活発になるため、臭いもそれに伴い強まります。
制服白いシャツが黄ばんだり、脱いだまま放置していたシャツがニオイを発したりしてくるのもこの時期から目立ち出します。
アポクリン汗腺はすべての方に存在していますが、ワキガの人のアポクリン腺はそうでない人のものに比べて活動している汗腺の数が多く、さらにサイズが大きい傾向にあります。
思春期以降に発症したワキガは一生治らないか。というとそういうわけでもありません。高齢になるに従ってアポクリン線の活動が弱まるため、徐々にニオイが気にならなくなります。
いずれ治るから放っておけばいいじゃない。と言っても、多感な思春期〜おしゃれに気を使いたいお年ごろの間はニオイが強い傾向があるため、悩みが深い方が多いのも事実です。
ワキガの原因は菌だった?
そもそもアポクリン汗腺から出てくる汗が最初から臭うのか?というとそういうわけではありません。
ではどうしてあの独特なニオいがするのでしょうか。
実はワキガのニオイは皮膚に存在するある常在菌が原因であるとされています。
その原因菌の正体は「コリネバクテリウムキセロシス」
なんとも長い名前ですね。
皮膚常在菌であるコリネバクテリウムキセロシスは、タンパク質や脂質が含まれたアポクリン汗を栄養源としています。そして、この菌により汗が分解された時に出来る中・低級脂肪酸、アンドロステノンというステロイドホルモンがニオイの正体なのです。
写真:http://www.kao.com/jp/corp_news/2010/20101111_001.htmlより
自分で予防出来る?
ワキガの悪化要因を知ろう!
「汗+菌」が臭いの原因であることをお話しましたが、日によって、時間によってニオイの強さが変わることをワキガの方は実感したことがあると思います。
ニオイが強くなる要因というものを知ることで、臭いやすい状況を少しでも回避出来る可能性があります。
①食生活
ワキガを悪化させる原因として、肉食系や油分の多い食事、たくさんの香辛料を摂取することなどが代表として挙げられます。毎日毎日そのような食生活をしていると自然と体臭も強くなる傾向にあると言えます。ゼロにしてください。というわけではありませんが、ニオイが気になるようであれば避けたほうが良い食事内容です。
②ストレス
精神的ストレスもワキガのニオイを強くしてしまいます。
人はストレス状況にさらされると、それに対抗するためにアドレナリンや男性ホルモンを出すようになります。それらのホルモンにより発汗が増え、ニオイが強くなります。
忙しい状況でストレスが溜まり続けないように、自分なりのリラックス方法を見つけ出すことも大事ですね。
③ホルモン
ワキガのニオイを悪化させるものは男性ホルモンだけではありません。実は女性ホルモンにもそのような作用があります。実は日によって臭いが強かったり弱かったり。ということを実感するのは女性のほうが多いと言われています。毎月の排卵や生理などに伴いワキガのニオイが強くなる。と感じている方はいませんか?その原因は女性ホルモンの変動によるものなのです。さらに、生理前は嗅覚が敏感になると言われていて、それも相まって体臭が強く感じられます。
④洋服の材質
昨日は臭わなかったのに今日はなんだか臭いが気になるな・・・。というときは、洋服の材質にも注目してみましょう。
ナイロンやポリエステルなどの化学繊維を使用した洋服は、綿や麻などの天然繊維の洋服に比べてニオイが強く感じられます。化学繊維は汗を吸収せず、高温多湿環境を作りやすいため、悪化原因となる雑菌が増えやすい状況を作ります。最近流行っている速乾性の化学繊維の洋服なら大丈夫か?というとそうでもないようで、汗の水分は外に逃がすのですが、ニオイのもとは繊維に付着し残るため臭いが強くなる可能性があります。
⑤喫煙
タバコに含まれるニコチンは中枢神経を刺激する成分で、それによってエクリン腺からの汗の分泌量を増やします。それによってアポクリン腺から出た臭う汗が広がってしまい、雑菌の増殖も助長します。また、ニコチンは交感神経も刺激することがあるため、それによりアポクリン汗腺が刺激されることで臭う汗が増えるため、結果としてさらにワキガのニオイが悪化してしまいます。
まとめ
ワキガは遺伝的な体質に様々な要因が絡み合い発現します。生活習慣の見直しをするだけでも症状は軽くなる可能性がありますよ。とくに女性は生理の間はニオイが強くなる傾向があるので、その時期は洋服の材質などにも気を使ってみてはいかがでしょうか。
ワキガのセルフケア方法、治療方法の詳細は「脇の臭いが気になる方へ!ワキガのケアと病院での治療方法を教えます。」をご覧ください!