こんにちは、秋葉原スキンクリニック 副院長の矢田佳子です。
多くの方が悩まされる「ニキビ」。そしてそのニキビができた後にさらに私たちを悩ませるのが「ニキビ痕」です。
痛いニキビが治った後、ほっとしたのもつかの間、頬に赤みや黒ずみが残ってしまい、メイクでも隠しにくく切ない思いをしたことはありませんか?
また、さらに症状が強い場合、クレーター状に表面が凸凹してしまうものあります。厄介なのは、このニキビ痕は保険診療の範囲内で治療できないことも多く、また市販の化粧品によるホームケアでは改善させることが難しく、治療を諦めてしまっている人も多くいらっしゃいます。
しかし賢く美容治療を選択することで、この凸凹のクレーターまでもしっかりとケアすることができます。今日は凸凹ニキビ痕の治療についてお話しします。
どうしてニキビ痕が残るの?
皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織で構成されています。
ニキビが腫れて炎症が起きると、この中の「真皮」を傷つけます(中には皮下組織まで影響のあるニキビも存在します)。傷ついた真皮は早く修復しようとする際に、通常とは異なる組織を形成してしまいます。それが瘢痕(はんこん)組織と呼ばれるもので、正常な皮膚の組織に比べ、弾力がなく硬い組織に置き換わってしまいます。これが、ニキビ痕が他の皮膚と異なる状態になる原因です。
子どもの頃に転んでできた傷が未だに残っている、という方もいると思いますが、ちょうどそれと同じ原理です。瘢痕組織は一度できるとそれ自体が自然に消えて通常の皮膚に戻ることはほぼありません。
ニキビ痕治療のキモは「コラーゲン」再生
ニキビで傷つけられるのは真皮のコラーゲン組織です。この傷つけられて変化してしまった組織が、新しいコラーゲンに置き換わることができれば、瘢痕組織を正常な状態へ導くことができると言えます。
ではよくドラッグストアや化粧品売り場、通販などで目にする「コラーゲン化粧品」を使えばいいのでしょうか?答えは残念ながらNoです。
通常のコラーゲン化粧品に含まれるコラーゲンは分子量が大きすぎて真皮内まで浸透しません。コラーゲン化粧品でクレーターが治るとは考えづらいでしょう。(皮膚の保湿には有効です。)
しかし諦めることなかれ!新しいコラーゲンを生み出す方法があるのです。それは「ニードリング」治療というもので、これによりニキビ痕の悩みから解放された方が多数いらっしゃいます。
ニキビ痕の治療に有効な皮膚科でのニードリング治療とは
ニキビ痕の治療として皮膚科ではレーザーによる治療を勧めているところもあり、当院でもフォトフェイシャルファースト・Vビームレーザーなどの治療を勧めるケースもあります。しかし、ニキビ痕の中で最も重症なクレーター症状には効果が出にくい場合も。そこで力を発揮するのが「ニードリング」治療。これは、ごく細い針(長さ2mm前後)で皮膚の角層から表皮上層に穴をあけることで真皮を刺激したり、その後に導入する美容成分を効率良く真皮に届けたりする治療です。
ダーマローラー
ダーマローラーとは、ニードリングケアの一種で、皮膚に優しいコラーゲン増生療法で、ニキビ痕・色素沈着・しわ・セルライトおよびその他の皮膚障害の治療に効果的なものです。
目には見えない小さな穴を無数に開けて、その刺激により自然な創傷治癒の過程を人為的に作り出します。この治療によるコラーゲン産生効果により、新しい肌に置き換える画期的な治療です。単純に針を刺すだけではなく、針の先端が真皮層に達して瘢痕組織により形成された異常な凝固化を断ち切るような働きもします。
ニキビ痕の治療にはコラーゲンの再生・増生が重要であることは述べましたが、この治療ではコラーゲンを外から取り入れるのではなく、自身の皮膚組織を刺激・増生して肌を生まれ変わらせる治療なので、自然な効果が長続きします。
ニキビ痕はもちろん、しわ・シミ・たるみなどの加齢による症状や、セルライトや肉割れ、妊娠線などのボディ治療にも向いています。
治療直後からコラーゲンの増殖が始まり、2ヶ月かけてコラーゲンが増え続けます。平均で206%、最大で1000%ものコラーゲンが増加したという報告もあります。
2〜6週間ごとに5〜6回が1クールとなり、高い効果を得ることができます。必要により2クール、3クールと治療を行う方も多く、人気の治療の一つです。
フラクショナルRF
フラクショナルRFの治療とは、ニードリングケアと高周波(RF)の照射を組み合わせたものです。単純に針を刺すだけではなく、針の先端が真皮層に達して瘢痕組織により形成された異常な凝固化を断ち切るような働きをします。さらにRFによる熱刺激で線維芽細胞を増殖させます。線維芽細胞とはいわばコラーゲンの生産工場です。この工場でコラーゲンがどんどん新しく産生されることで皮膚再生を確実に促すことができます。
またニードリングケアのウィークポイントである治療中の出血やダウンタイムを抑えられているのもポイントです。高周波(RF)が加わるため、引き締め効果はダーマローラーよりも高いと言えるでしょう。
フラクショナルRFも2〜4週間ごとに5〜6回程度繰り返し治療を受けることを推奨しています。
当院でのニードリングケアの組み合わせによるニキビ痕の治療例です。
クレーター状のニキビ跡が消えています。
この事例ではダーマローラーとフラクショナルRFの治療を数回ずつ繰り返しています。
自宅でダーマローラーを使うのはリスクがあります
通販サイトなどではダーマローラーのホームケアキットが販売されており、手軽に購入することができます。
しかしこういったもので自己流のケアを行うのは大変危険です。
皮膚科では経験を積んだ医師が患部の状態、その人ご自身の皮膚のタイプを見て、針の長さ、当てる強さなどを調整して施術しています。また副作用が強い場合は医師の診察を受けることができます。
自己流のケアでは不潔な環境での施術により細菌感染を起こしてしまったり、機器の使用間違いにより、皮膚に傷を付けてしまったり、微細な調整ができないために痛みや腫れ、炎症が続いて皮膚科に駆け込むケースもあります。
早くきれいになろうとして選択した方法が、さらに皮膚を傷つける事態になることもあり、このような危険を伴う処置は医療機関で行うことが最善の道です。
ダーマローラー・フラクショナルRFと併用する治療・ホームケア
ダーマローラーやフラクショナルRFによる治療後の赤みを鎮静させたり、より治療効果を高めたりするためにイオン導入や超音波導入を同日に受けることを推奨しています。
またホームケアでその効果を高めることも重要です。当院ではエンビロンによるビタミンAケアを特におすすめしています。
ダーマローラーの料金・副作用
顔全体料金
1回 ¥45,000(初回20%OFF ¥36,000)
3回セット(20%OFF) ¥108,000
5回セット(30%OFF) ¥157,500
副作用
治療後、数日間は赤みと若干のむくみ感がでます。
当日は洗顔、スキンケア、入浴などはしていただいて結構ですが、体温が上がると赤みが目立つ場合があります。アルコールやピーリング剤が入った化粧品はしみる可能性があるのでご注意ください。お化粧は翌日より可能です。
治療後、代謝が上がったことで、一時的に、乾燥やざらつき、ニキビの悪化が起こることがあります。その場合は保湿をしっかり行ってください。
時に、内出血が生じる場合がありますが、1〜2週間程度で徐々に吸収されていきます。
副作用が強い場合は、当院にご連絡の上、医師の診察を受けてください。
フラクショナルRFの料金・副作用
顔全体料金
1回 ¥50,000(初回20%OFF ¥40,000)
3回セット(20%OFF) ¥120,000
5回セット(30%OFF) ¥175,000
副作用
治療後は赤みが出ます。体質によってはかゆみが出る場合があります。赤みは、早ければ数時間、長くても数日でほぼ目立たなくなります。
当日は洗顔、化粧、入浴などはしていただいて結構ですが、体温が上がると赤みが目立つ場合があります。アルコールやピーリング剤が入った化粧品はしみる可能性があるのでご注意ください。
治療後、代謝が上がったことで、一時的に、乾燥やざらつき、ニキビの悪化が起こることがあります。その場合は保湿をしっかり行ってください。
治療後のダウンタイム短縮の処置として、クーリングエレクトロポレーションを併用することもできます。
副作用が強い場合は、当院にご連絡の上、医師の診察を受けてください。
まとめ
- ニキビ痕ができるのは傷跡を早急に修復しようとする皮膚の働きが原因
- できてしまったニキビ痕を消すにはコラーゲン産生による皮膚の入れ替わりが必要
- ニードリング治療によりコラーゲンの増殖ができる
- 数回ニードリング治療を受けることで皮膚の入れ替わりを促せる
- ホームケアによる自己流のニードリングはリスクが伴うので要注意