AGAという言葉を聞いたことがありますか?AGA(Androgenetic Alopecia)は男性型脱毛症のことを言います。男性型脱毛症というのは、頭のてっぺんや額の生え際の毛がだんだんと薄くなる、いわゆる薄毛のこと。
もともと、健康な髪の毛というものは、太くてコシのあるしっかりした毛が1つの毛穴から2、3本と密度高く生えている状態を言います。
AGAの方の髪の毛は1つの毛穴から生える毛の量が減り、さらにその1本1本は細く短い毛となってしまいます。さらに、毛包という毛を作り出す場所も健康な毛包より小さくなってしまいます(毛包のミニチュア化という状態)。
男性型脱毛症(AGA)の原因は?
原因の代表選手はDHT(ジヒドロテストステロンの略)という物質です。
男性の精巣や副腎から分泌されるテストステロンというホルモンが血液の中を流れていき、髪の毛の根本にある毛乳頭に到達すると、5αリダクターゼという還元酵素の作用を受けDHTになります。そしてDHTは男性ホルモンのレセプターにくっつき、毛を生やす機能を抑えてしまいます。
AGAの薄毛の部分にはこのDHTがたくさん存在していると言われていて、これにより髪の毛が伸び続ける期間が短縮され、成長しきる前にどんどん抜けていってしまうことで薄毛が進行していきます。
髪の毛を洗った際に短い細い元気のない毛が抜けることが多くなった時は要注意。すでにAGAが始まっている可能性があります。
このAGAは早い人だと20歳前より始まることもあり、青年期の大きな悩みの一つとなっています。
AGA治療には飲み薬の治療薬があります。
育毛シャンプー、ローション、トニックなどなど、すでに巷には沢山のAGAケア用品が販売されています。それらの使用で症状が改善する方もいますが、残念ながら症状が改善しない方もいらっしゃると思います。
そのような方には飲み薬でのケアもおすすめです。
世界にはさまざまなAGA薬がありますが、日本で多く処方されているものは厚生労働省で認可されている「フィナステリド」という成分の飲み薬で0.2%と1%の2種類があります。
商品名は「プロペシア®」が有名ですが、最近ではジェネリック薬品も処方できるようになりました。
また、2016年からは「デュタステリド」が主成分の「ザガーロ®」という飲み薬も処方できるようになり、「フィナステリド」で効果が少ない方にも効果が出る可能性が高いということで話題になっています。
この2種類の飲み薬は保険診療外の薬剤となります。
AGAの薬「フィナステリド」「デュタステリド」はどうして薄毛に対して効果が出るのか?
そもそもこれらの飲み薬がどうして薄毛に効くのでしょうか。
先にお伝えしたように、男性の薄毛は5αリダクターゼという還元酵素によりDHTという脱毛を起こす物質が作られることで起こります。
5αリダクターゼはⅠ型、Ⅱ型の2種類があり、Ⅱ型により作られるDHTのほうが強力で、AGAの発症に大きく関与しています。(Ⅰ型も多少なりとも関与している可能性はあります。)
「フィナステリド」「デュタステリド」はどちらも、この5αリダクターゼをブロックしてテストステロンからDHTが作られないようにしてくれます。
「フィナステリド」は5αリダクターゼのⅡ型のみをブロック、「デュタステリド」は5αリダクターゼⅠ・Ⅱ型両方をブロックします。
「デュタステリド」はこの2種の還元酵素を抑えるため、効果が高いとされていて、比較試験では「デュタステリド」のほうが「フィナステリド」に比べて毛の本数が1.5倍増加した。と報告されています。
この結果はすべての方に当てはまらない可能性もありますが、少なくとも全般的には「デュタステリド」のほうが効果は高そうです。
AGAの飲み薬の治療はいつまで続ける?
「フィナステリド」「デュタステリド」の効果は飲み始めて翌日から出るものではありません。
内服を継続して1ヶ月、2ヶ月と徐々に効果を実感できるようになります。
最初の効果は「抜け毛が減る」。それから「毛がしっかりしてくる」。「発毛して毛量が増える」というように徐々に症状が改善していきます。客観的に発毛効果が見られるのは半年ほど経った頃からとなりますので根気よく内服を続けることが必要です。
AGAの症状が進行し、長期に渡り薄毛の状態が続いた方に関しては、発毛までの効果が見られないこともありますが、ほとんどの方に脱毛量減少や毛が太くなるという効果は出るとされています。
これらの飲み薬は内服をやめるとまたAGAサイクルが再開されてしまうため、一度発毛しても内服中止によりAGAが再発してしまう可能性があります。ですので、AGAを予防したいお年頃のうちは継続して内服する必要があるのです。
AGAの薬「フィナステリド」「デュタステリド」の副作用
AGA治療において画期的な効果をもたらす「フィナステリド」「デュタステリド」ですが、副作用をきちんと理解して内服を開始することが大切です。
代表的な副作用として、リビドー減退、勃起不全、射精障害などの性機能関連の副作用が生じることがあります。また、乳房障害(女性化乳房、乳房痛、乳頭痛、乳房不快感)、肝機能障害なども報告されています。
2剤を比較すると、「フィナステリド」よりの「デュタステリド」のほうが副作用発現率は高いようです。
AGAに対して内服を行う。ということは、かなり長期に内服をしていくことになります。定期的に採血検査で肝機能チェックをしたり、上記副作用が出ていないかを確認しながら継続する必要があります。
まとめ
男性型脱毛症(AGA)には国内で認可された「フィナステリド」「デュタステリド」という治療薬があります。
AGAが進行してからの内服よりも、発症初期からの内服をおすすめします。
長期内服になる可能性が高い薬剤ですので、治療を行う際は定期的な血液検査を行い、副作用に常に気をつけながら内服を継続する必要があります。