みなさんこんにちは。秋葉原スキンクリニックの堀内です。
日が長くなって汗ばむ季節になってきましたね。
木々の緑も濃くなり、色鮮やかな花々が咲く夏。美味しい野菜や果物が実る夏。私は夏が大好きです!!しかし、夏は皮膚にとって油断大敵な紫外線が最も強い季節でもあります。
今回は、一年で最も紫外線対策が重要な、夏の皮膚を守るスキンケアについてお話しさせていただきます。
紫外線がもたらす皮膚老化は努力でなんとかなる?
有名なこの写真。ご存知ですか?
これは長年トラックの運転手をしていた男性の写真です。
左ハンドルのトラックを長時間、長期間運転したことによって、車の窓から注がれる紫外線の影響で顔の左側の皮膚に強い老化反応が起こってしまったのです。恐ろしいですよね・・・。
このように、紫外線を浴び続けた皮膚はたるみ、無数のシワができ、表面は荒くなります。これを「光老化」と呼びます。
この光老化。実は皮膚の老化全体の80%を占めるとも言われているのです。皮膚の老化には大きく分けて、「自然老化」という加齢変化による生理的な老化と、「光老化」という紫外線がもたらす老化があります。逆に考えると、紫外線による「光老化」は自己努力で防げる可能性があるとも言えます。これは吉報ですよね。
「私はもう遅いわ・・・。」とあきらめないで!!今からでも光老化予防を習慣にすれば、10年後、20年後の未来が変わるかもしれません。
光老化をもたらす紫外線防御にかかせない日焼け止めについて
その1 日焼け止めの正しい使用方法
昨今、紫外線の怖さについて、様々な情報が出ていますから、紫外線対策を毎日されている方もたくさんいらっしゃると思います。しかし、その紫外線対策が思ったより効果がなかったらどうしますか?
当院の外来には、毎日きちんとケアしているのにシミが出来ちゃった。とおっしゃる方が毎日のように来院されます。
実際、その方たちが使用する日焼け止めの量を聞いてみると、リキッドファンデーションと同じくらいの量(パール粒1−2個くらいでしょうか・・・)を塗っていることがほとんどです。実は、これではと〜〜っても不十分。
日焼け止めのSPF表示はご存知ですよね?SPF25とか50とか数字がかいてあるあれです。SPFの数値は1cm2の皮膚に2mgの日焼け止めを塗った状態で出された数値です。実際に使用する際どれくらいの量になるかと言うと、顔全体で500円玉くらいの量を塗る換算になります。
↓これくらい
この量を塗るとなると、顔はべたべたになります。でも、それくらい必要なのです。
ベタつくからと言って半分の量しか塗らないと、残念なことに効果は4分の1ほどになってしまいます。
え??半分の量だから効果も半分ではないの??と思われたかもしれませんが、悲しいことに効果は4分の1・・・。
SPF50を塗っているから大丈夫!と思っていても、4分の1となるとSPFは12くらいまで下がってしまいます。しかも、汗や摩擦で塗ったはずの日焼け止めは刻一刻と剥がれていきます。
これでは日焼け止めの効果はさほど期待できません。たっぷり!しっかり!ケチらずに!!これが日焼け止めを塗るときの合言葉です。
〜私の日焼け止めの塗り方〜
一回に必要な量を手に出して、まず半分を顔全体に満遍なく伸ばします。馴染んだところで、残りの半分をまた顔全体に伸ばします。こうすると、一度に大量につけるより、皮膚への馴染みが良い感じです。
その2 日焼け止めに書いてあるSPFとPAって一体何?
SPF(Sun Protection Factor)
これはUVBの防止効果を示す値です。UVBは肌の表面に炎症を起こす紫外線です。日焼けの後にヒリヒリ赤くなる(サンバーン)のはUVBによる反応です。
SPFは「日にあったった時に肌が赤くなるまでの時間を何倍に延ばすか」ということを表しています。
紫外線に当たり始めてから皮膚が赤くなるまでだいたい15〜20分くらいと言われていますが、この時間をSPF20の日焼け止めであれば20倍遅らせることが出来ますから、 15〜20分×20=300〜400分になる。という意味なのです。
ということは・・・。紫外線にあたったときの反応がただ遅らせられるだけ。ということなので、日焼け止めを塗っても、少しずつは紫外線の影響を受けていて、少しずつ日焼けしている。ということにもなります。
PA(Protection Grade of UVA)
これはUVAの防止効果を示す値です。UVAは肌の奥まで到達し、活性酸素を発生させます。この活性酸素により、DNAを傷つけたり、皮膚の張り・弾力を保っているコラーゲンやエラスチンといった組織を破壊します。これにより、たるみ、シワなどの老化症状が生じます。窓ガラスや雲も通過してしまうので、室内や車内、曇りの日にも降り注いでいるので要注意です。
PAは「日に当たった時に黒くなる反応(黒化)をどれくらい遅らせられるか」ということを表しています。
PAは「何も塗らないところに比べて、日焼け止めを塗ったところの黒くなる時間が何倍に延びたか。」により3段階で表記されます。
PA+ ・・・2〜4倍 効果がある
PA++ ・・・4〜8倍 かなり効果がある
PA+++・・・8倍以上 非常に効果がある
あれ?と思われた方。
正解!
UVAは皮膚の奥深くに入ってコラーゲンなどに悪さをするって言ったのに、なんで黒くなる反応を目安にしているの?コラーゲンのダメージを防御する効果で表せばいいじゃない。と思いませんでしたか?
そうなのです。そうなのですが、実際はUVAによりコラーゲンなどがダメージを受ける障害というものは長い時間をかけて(年単位)現れます。ですから、短時間の実験で測定することが難しいため、代わりにこのような指標を用いているのです。
去年使っていた日焼け止め。もったいないから使っちゃおう!はやめましょう。
あまり日焼け止めを塗らない方や何個も日焼け止めを持っている方。
使い切れないまま放置している日焼け止めはありませんか?
もし去年の日焼け止めが出てきても、勇気を持ってゴミ箱にポイッ!としてください。
化粧品の使用期限は、基本的には未開封の状態であれば製造から3年となっていますが、そもそも製造日もしくは保存期限が記載されている化粧品はほとんどありません。ですので、皆さんが商品を手にした時、すでに製造からかなりの時間が経過している可能性もあるのです。さらに、開封後は空気に触れたり、手についていた雑菌が混入したりと衛生的にも良くない状況にあります。基本的には開封後半年以上経過したものは捨てるようにしましょう。
先ほどお話した量で毎日使用していれば、60g入りの日焼け止めを購入した場合、2ヶ月くらいでなくなるはずです。光老化しやすい首や手の甲などにも塗れば、1ヶ月くらいでなくなってしまいますよ。
と言うことで、今年の夏は「光老化を予防しよう!日焼け止めは余るわけがない!」をスローガンに、せっせと紫外線対策をしましょう!!