こんにちは。秋葉原スキンクリニック院長の堀内祐紀です。
ある日突然「あれ?こんなものあったっけ??」と気づく茶色いもの。通称『シミ』と呼ばれるその症状には、実はいろいろな種類があることをご存知ですか?私たちの皮膚というのは不思議なもので、生活環境、ホルモンの影響、体調などにより、急にシミが濃くなったり、増えたりするのです。
今回は、この憎っくき茶色いもの。「シミ」をクローズアップしていこうと思います。
皮膚にできる色のトラブルは茶色いシミだけじゃない
皮膚の色むらの原因としては、茶色系、赤系に分かれます。茶色いものの中にも、より黒に近いものや灰色に近いもの、青に近いものがあります。赤いものは血管の色で、ピンク色や赤、やや紫色に近いものがあります。
これらは、大きく分けて「シミ」と呼ばれるものと「あざ」と呼ばれるものがあります。その他に、怪我の痕が黒く残ったものやニキビややけどの後に残った黒ずみなども色のトラブルの仲間です。
一般的には加齢とともに増えてくる茶色い色素を「しみ」、生まれつきの茶や黒(時に青っぽく見えるものもあり)、赤などの色素斑を「あざ」と呼びます。
「しみ」と呼ばれるもの
・日光黒子(にっこうこくし) 別名:老人性色素斑
・雀卵斑(じゃくらんはん) 別名:そばかす
・肝斑(かんぱん)
・後天性真皮メラノサイトーシス(ADM) 別名:後天性両側性太田母斑様色素斑
「あざ」と呼ばれるもの
・太田母斑(おおたぼはん)、伊藤母斑(いとうぼはん)、持続性蒙古斑、異所性蒙古斑 別名:青アザ
・扁平母斑(へんぺいぼはん) 別名:茶アザ
・血管腫(けっかんしゅ) 別名:赤アザ
「その他」の色のトラブル
・外傷性刺青(がいしょうせいしせい)
・炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)
・脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう) 別名:老人性いぼ
・摩擦黒皮症(まさつこくひしょう) 別名:ナイロンタオル皮膚炎
なんだか沢山あってわからない!!と思いますよね?なぜこんなに沢山の種類をお伝えするのかというと、それは同じように見えても実は適切な治療方法が異なることがあるからなのです。
原因がわかれば、自分である程度予防ケアができるものもありますから、後ほどお伝えする予防方法やケア方法をぜひ試してみてください。
日光黒子(老人性色素斑)治療とケア法
30歳を過ぎると、皮膚に茶色いものが増えてきます。早い人では20代から出てくる人もいます。これはよく見るシミの一つで、本名を日光黒子と言います。別名に老人性色素斑という切ない名前もついていて、その名前の通り、加齢に伴い増加し、紫外線が原因であるため、顔や手の甲、背中の上の方、すねなど日光に長時間さらされやすい部分に多くみられます。数ミリ〜数センチに及ぶかなり大きいものもあります。
日光黒子の治療
レーザー治療、フォトフェイシャルファーストなどが有効ですが、色の濃さ、厚みにより、回数がかかることがあります。ピンポイントでケアしたければレーザーがオススメ。シミのあるところだけでなく、皮膚全体の質感やくすみなども改善しながら無理なく少しずつシミを薄くすることを希望される方はフォトフェイシャルファーストがオススメです。ただし、フォトフェイシャルファースト治療で取りきれない日光黒子もあるので、その場合はレーザーを併用することもあります。
オススメのホームケア
予防としては、当たり前のようですが、やっぱりサンスクリーン剤(日焼け止め)での紫外線予防対策が必須です。
できてしまったシミは、ホームケアで完全に取れないことも多いのですが、レーザーなどはまだしたくないな・・・。と思う方は、レチノイン酸やレチノールによるビタミンAケアとハイドロキノンの併用ケアがオススメです。ただ、この2系統の成分は、ちょっと癖があります。専門のクリニックで使用方法や効果の出方、副作用などをきちんと説明してもらってから使用することをオススメします。
雀卵斑(そばかす)の治療とケア
小さな茶色い斑点が鼻を中心に顔全体に散らばったようにみられるものです。赤毛のアンはそばかすっ子の代表です。チャームポイントでもあるこのそばかすですが、悩んでいる方もけっこう多いものです。実はそばかすは遺伝します。大人になってから出てくる前述の日光黒子と違って、小さい頃からみられることが多いのが特徴です。米粒くらいまでの大きさで、成長とともに増えたり、紫外線の影響で濃くなることもあります。
雀卵斑(そばかす)治療
治療法は日光黒子の治療法と同じく、レーザー治療、フォトフェイシャルファーストなどが有効ですが、再発しやすい傾向があります。綺麗な状態を保ちたい方は、毎日の紫外線予防・美白ケアに加え、少なくとも年に1−2回のレーザー・フォトフェイシャルファースト治療がオススメです!
オススメのホームケア
日焼けによって悪化するので、紫外線対策は必須!できてしまったシミは、ホームケアで完全に取れないことも多いのですが、レーザーなどはまだしたくないな・・・。と思う方は、レチノイン酸やレチノールによるビタミンAケアとハイドロキノンの併用ケアがオススメです。ただ、この2系統の成分は、ちょっと癖があります。専門のクリニックで使用方法や効果の出方、副作用などをきちんと説明してもらってから使用することをオススメします。
肝斑の治療とケア
30歳以降の女性の顔の左右にできる薄茶色のシミです。額や口の周りなども含め、比較的広範囲に出てくることもありますが、目の回りには出ないことが特徴です。時に頬骨に沿って線状に見られることもあります。妊娠や避妊用ピル、閉経後のホルモン補充療法に合併して発生することもあります。非常に軽い症状のものも含めると、かなりの方に症状が見られます。ほかのしみと合併していることもしばしばあります。
肝斑の治療
レーザー治療は無効とされています。逆にかえって色が濃くなることもあり、注意が必要です。ただし、最近ではレーザートーニングという新しい治療も行われており、場合によっては効果が期待できるとされています。他にはビタミンCとトラネキサム酸、ハイチオール、ビタミンEなどの内服・イオン導入・超音波導入・エレクトロポレーションといった導入系治療がオススメです。
肝斑のホームケア
肝斑の場合は、避けてほしいケアというものがあります。とにかくこすることは肝斑を悪化させてしまう可能性があるので禁!です。洗顔でゴシゴシ、タオルでゴシゴシ、ファンデーションを塗る時にゴシゴシ。肌はいつもゴシゴシの脅威にさらされています。
紫外線により悪化してしまうこともしばしばありますから、サンスクリーン剤(日焼け止め)を使用し、ハイドロキノンなどのメラニン合成抑制作用がある外用剤やトラネキサム酸のケア用品もオススメです。
後天性真皮メラノーシス(ADM)の治療とケア
別名、後天性両側性太田母斑様色素斑(長い名前ですね…)ともいい、思春期以降に出てきます。女性の顔の中で、とくに左右の頬骨の部分に対称に出てきます(片側にのみ症状がある方もいます)。茶色かもしくはやや灰色っぽく、数ミリ程度の斑点が沢山見られることが多いです。おでこにも出てくることがあり、比較的大きな茶色い斑点となることもあります。また、稀ですがまぶた、鼻にまで出てくることがあります。
若いのにシミが出来た。という方の中には、このADMである人も多くいらっしゃいます。小さい斑点の場合は、経過などから診断がつきやすのですが、大きい斑点になると、肝斑と間違った診断をされてしまうこともあります。肝斑の治療でまったく変化がない場合は、こちらの後天性真皮メラノーシスかもしれません。
後天性真皮メラノーシス(ADM)の治療
斑点の原因となっているメラニン色素が皮膚の深い部分にあるので、一般の美白外用治療は無効とされています。
Qスイッチレーザーが有効です。他の色素斑(肝斑や日光黒子など)との合併も多くありますので、状態に合わせた複合治療をオススメします。
後天性真皮メラノーシス(ADM)のホームケア
治療せずに自然に消えることはまずありません。残念ながらホームケアでは治らないので、レーザー治療がオススメです。