こんにちは。秋葉原スキンクリニックの堀内です。
前回のお話は、「夏にすべきNo.1スキンケア」として日焼け止めのお話をさせていただきました(※夏本番!油断大敵・紫外線!夏にすべきスキンケアNo.1はやっぱりこれ!参照)。
では日焼け止めだけ塗っていれば100%安全なのでしょうか?
答えはNoです。
実はまだまだすべき第2,第3の対策があります。
紫外線対策先進国のオーストラリアにはSLIP, SLOP AND SLAP RULEというものがあります。
★SLIP:Slip on a T-shirt(長袖のTシャツを着よう!)
★SLOP:Slop on sun screen(日焼け止めを塗ろう!)
★SLAP:Slap on a hat(帽子をかぶろう!)
この3つに加えて★WRAP:Wrap on some sunglasses to protect your eyes.(サングラスをかけて目を守ろう!)
オーストラリアでは国を上げて国民にこれらのルールを徹底させようとしています。美肌のためだけではなく、健康の観点からも、皮膚を紫外線から守ることが推奨されているのです。
今回は、いつものケアにぜひ加えてほしい紫外線対策について詳しくお話させていただきたいと思います。
日焼けだけではない!紫外線が目の病気を引き起こす!
オーストラリアの一部の小学校では、サングラスを着用することが義務化されているとか。これは、紫外線から子供の目を守るための対策のようです。校庭で遊ぶ際もサングラスの着用を推奨されている小学校もあるほどで、目への紫外線による影響に対する関心の高さが伺えます。
ではいったい目に紫外線が当たるとどうなるのでしょうか。
そもそも、目には紫外線を防ぐ機能が備わっているので、日本にいる場合、短時間の外出や朝の通勤程度であれば、そんなに深刻な問題にはならないようです。ただ、強い紫外線の下で長時間屋外にいたりスポーツをするようなことが続くと、角膜炎、白内障、加齢黄斑変性症などの病気を引き起こしてしまうことがあります。それらを予防するために、屋外に長時間いるような場合はサングラスの着用を強く推奨します。
目の日焼けが皮膚の日焼けを引き起こす?
皆さんは目の日焼け対策をしていますか?
「目が日焼けすると皮膚が黒くなる」という話を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
これは、大阪市立大学の井上教授の実験結果で明らかにされました。
この実験はマウスに対して
①紫外線を照射しない
②耳だけに照射
③目に照射
という3つのグループに分け、各グループでメラニンのでき方を調査しました。結果は③グループの耳には②グループの耳と同様のメラニン量が作られていた。というものでした。
もう一つの実験として、瞳孔を調整する三叉神経の活動を止めたマウスの目に紫外線を当てた場合は①グループと同様にメラニンは作られなかったそうです。
これらの実験から
目に紫外線が照射される→三叉神経を介して脳下垂体に情報が到達→皮膚メラニンが作られる
という経路が予測されました。ただ、これはあくまでマウスの実験です。が、人間にも同じようなことが起こっている可能性も考えなくてはいけません。
皮膚が黒くなる反応だけではなく、前述したように、目の病気を引き起こす可能性のある紫外線は、防御してもし過ぎることはないでしょう。
目に悪いサングラスがあるってホント?
目を紫外線から守るためにサングラスをしたほうが良いと聞いたから。と言っても、サングラスなら何でも良いわけではないようです。
推奨されるサングラス
①大きさ→大きい方がいい
②レンズの機能→紫外線防御機能のあるレンズが必須
③レンズの色→黒より淡いものが良い
小さく、色の濃いUVカットでないレンズの入ったサングラス。これは☓!!
なぜなら、黒い色のレンズのサングラスをしていると、暗いところにいる時と同様に瞳孔が開きます。さらに、その開いた瞳孔にサングラスの周りやレンズを通して紫外線が目に入ってしまうからです。
サングラスの良し悪しは値段だけではありません。今年のサングラスは、機能性を考えて購入しましょう!
賢く選んで紫外線を防御!洋服編
紫外線を防ぐために洋服を賢く選択することもオススメな方法です。
では、どのような洋服を選べばよいのでしょうか・・・。
紫外線カット率は黒>青・緑>黄>赤>白
ある実験で、綿100%生地を用いて、各色の紫外線カット率を調べたものがあります。それによると
白:UVカット率68%
黒:UVカット率98%
青:UVカット率97%
緑:UVカット率97%
黄:UVカット率95%
赤:UVカット率94%
オレンジ:UVカット率92%
紫外線カット率は
黒>青・緑>黄>赤>白
という結果になりました。
よく、白は紫外線を通すから黒い色が良い。と聞きますが、夏に黒い洋服を着ると熱を吸収し暑いばかりか、見かけも暗く、せっかくの夏のファッションを楽しめないですよね。
この結果から、黒以外も意外と紫外線をカット出来ることがわかりますから、賢く楽しい夏ファッションを選択して夏を謳歌してください!
紫外線カット率はレーヨン>ポリエステル>絹>綿>麻
服の生地によって紫外線をカットする量に違いがあるかを調べた実験では、
綿:UVカット率68%
絹:UVカット率84%
麻:UVカット率56%
ポリエステル:UVカット率90%
レーヨン:UVカット率96%
紫外線カット率は
レーヨン>ポリエステル>絹>綿>麻
という結果でした。
天然素材の中で絹は綿や麻のよりも多く紫外線をカットするのです。化学繊維は紫外線のカット率が高いこともわかりました。
化学繊維は汗の吸収が悪いというイメージですが、最近のポリエステル生地には吸水性に優れたものも開発されていますから、そういうものを賢く選択するのもオススメです。
さらに、今は生地に紫外線を防ぐ物質を織り込んだり、生地表面を加工している商品もありますので、そういう商品を選ぶのも賢い方法だと思います。ただし、表面を加工したタイプの生地は、繰り返しの洗濯や摩擦で効果が落ちてしまう可能性があります。着用回数が多かったり古くなった場合は効果が落ちてしまっているかもしれないので要注意です。
賢く選んで紫外線を防御!帽子編
紫外線を防ぐために取り入れたいファッションに帽子は忘れてはなりません。
みなさんはハットとキャップ、どちらがお好みですか?
紫外線カット率はハット>キャップ
360°ぐるりとつばがあるハットと前だけつばがあるキャップを比べて、どちらが紫外線防御するでしょうか?と質問したら、多くの方が「ハット」と答えるのではないでしょうか。
紫外線は四方から降り注ぐので、つばが360°ある方がもちろん紫外線カット率が高くなります。
ただし、いつもどんなときもハットが優れているか。というと、そうも言い切れないかもしれません。激しいスポーツをする際は、頭にぴったりフィットするキャップのほうが好まれますよね。最近では、うなじや耳に紫外線が当たらないようにするキャップもでていますから、そういうものもぜひ使用してみてください。
帽子のつばは何センチあればいいの?
形ばかりに気を取られて、つばがとても短い帽子を選んでしまっては、紫外線防御効果が期待できない場合があります。
では、どれくらいの長さのつばがあれば良いのでしょうか?帽子と形とつばの長さで比較した紫外線防御率の調査の結果をお示しします。
ハット
7cm:UVカット率70%
10cm:UVカット率90%
キャップ
3cm:UVカット率35%
5cm:UVカット率50%
7cm:UVカット率60%
10cm:UVカット率70%
この結果を見ると、いつもの紫外線対策に帽子を追加する。という意味では、つばは7cmくらいあればなかなか良い防御ができるのではないでしょうか。
※注 つばの部分がメッシュ状の帽子では、上記効果は期待できなくなります。目の詰まった素材の帽子のほうが紫外線カット率が上がります。
賢く選んで紫外線を防御!日傘編
最近では男性も日傘をさす時代。雨天兼用の傘も沢山出てきていますよね。一昔前は、日傘といえばレースの傘だったような気がします。今は数えきれないほどのバリエーションの日傘が色々なところで販売されていますが、デザインだけでなく、機能的にも優秀な日傘をえらぶPOINTをご存知ですか?
遮光率99.99%以上の遮光1級日傘を選ぼう
日傘で用いられる生地には定められた規格があります。洋傘の業界団体であるJUPA(日本洋傘振興協議会)では、遮光率99.99%以上の生地を用いた日傘を「日傘を遮光1級日傘」と定めています。この記載がある傘は、かなりお薦めの日傘です。ただ、その規格よりも一つ下の「遮光傘」であっても、遮光率は99.00%以上ですから、十分かな。と私は思っています。あとは、きちんと日差しを遮るように傘をさすこと!良い傘を持っていても、使い方が悪いと紫外線防御はできませんから・・・。
もう一つ、忘れがちなのが照り返し。アスファルトは10%、砂浜は25%も紫外線を照り返します。日傘だけでなく、日々の日焼け止めも忘れずに!!
日傘はやっぱり黒なの? 遮光のために好きな色を諦められない方に吉報
日傘は黒がいい!とよく聞きますよね。確かにそれは正解です。昔は白い日傘が主流でしたが、黒い色のほうが紫外線を防御する。という情報が広まり、黒っぽい日傘が増えました。しかし、夏の青い空。鮮やかな花々。開放的な雰囲気の中で、黒い日傘をさすのは残念だな〜。と思っている方はいませんか?
日傘にも洋服と同じく紫外線カット加工がされた生地というものがあり、生地の色にかかわらず紫外線は防御できますから、黒にこだわらず、ファッションの一部として、いろいろな色を楽しんでください。
まとめ
紫外線を防御する様々な方法を自分なりにうまく取り入れて、ファッショナブルに夏を楽しみましょう!!