こんにちは。秋葉原スキンクリニックの堀内です。
夏はプールの季節!暑い日に冷たい水に入る気持ち良さは格別です。
学校や幼稚園・保育園で子どもたちも楽しくプールに入っていることでしょう!
そんな季節に相談が増えることの一つ。それは「水いぼ」。
放っておいたら治ると思ったけど増え続けて・・・。
水いぼがかゆいと言って掻いてしまうのです・・・。
プールに入れてもらえないので取って欲しい・・・。
などの相談が多くなるこの季節。
そもそも「水いぼ」って何なのでしょう?
そして、「取ったほうが良い」VS「取らないほうが良い」はいったいどっちなのでしょう?
今回は、そんな「水いぼ」のなぜ?なに?をお話させていただきます。
いったいナニモノ!?「水いぼ」の正体とは・・・
「水いぼ」の本名は「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」と言います。
原因はウィルスであることは知っていましたか?「ポックスウイルス」(←かわいい名前ですよね)による皮膚感染症です。
「いぼ」は「いぼ」でも手足によく見られる「いぼ」とは原因となるウィルスが違うのです。
※ちなみに、手足によく見られる「いぼ」の原因ウィルスは「ヒトパピローマウィルス」です。
「水いぼ」の見分け方ってあるの?
「水いぼ」はほとんどのものが5mm以下で、表面がつるっとしています。そして、よく見ると中心がやや凹んだようになっているのが目印です。ただ、ごくごく小さいものは凹みがあまりわからないものもあります。1つあるとその周りに小さいものがぱらぱら見られる事もよくあります。
出来る場所は全身・・・。残念ながらどこにでも出来てしまいます。
「水いぼ」はどうやって伝染る?
「水いぼ」はインフルエンザのようには感染しません。直接触れることによる「接触感染」という経路で感染します。
「水いぼ」を覆う皮膚に傷がつくと、中のウィルスが皮膚表面に現れます。それに触れると感染するリスクが上がります。
プールで遊んでいる間に、直接皮膚が触れ合うことで、感染が拡大していきます。
「水いぼには直接触ってなかったのに・・・」と思っている方は、意外なところでウィルスに触れている可能性があります。たとえば、ビート板やタオル。こういうものがウィルスを運ぶこともあるのです。不特定多数の人の皮膚に触れる可能性があるプール備品は要注意。使った後は必ずしっかりと皮膚を洗うことが予防につながります。
「水いぼ」の出来やすい人ってどんな人?
「水いぼ」は出来やすい人とできにくい人がいるのをご存知ですか?いくらウィルスに触れても感染しない人がいて、逆にさほど触れていないのに高確率で感染してしまう人もいます。
うちの子は毎年毎年よく「水いぼ」になります。という方の皮膚には、実は共通点があります。それは、肌のコンディションが悪いこと。皮膚の免疫力が低下していること。どういう状態かというと、皮膚の表面がガサガサしていたり、アトピー性皮膚炎があったり、強い日焼けをしていたり、傷がある、などです。
感染予防には皮膚の状態を良くしておくことが最も重要です。
「水いぼ」の治療はどうやってやるの?
「水いぼ」の治療といえば、日本では昔から、特殊な先が丸くなった水いぼ用ピンセットを用いて、皮膚中のウィルスの塊をつまみ取ることが一般的です。
他には液体窒素でカサブタ化させて取ったり、炭酸ガスレーザーや電気メスで焼いたり、硝酸銀ペースト(硝酸銀の液体と小麦粉を混ぜたペースト)などの特殊な薬を塗る方法などもあります。
液体窒素でカサブタ化させて取る治療は、ピンセットでつまみ取る方法よりやや痛みは楽ですが、完全に取れるまで回数がかかる可能性があります。また、炭酸ガスレーザーや電気メスでの治療は無麻酔ではとても痛みが強いので、注射の麻酔を併用しないといけない場合もあり、数が多い水いぼの場合、第一選択にしにくいのが現状です。
硝酸銀ペーストの治療は、痛みがほぼ無いため小さいお子様にお薦めですが、どの皮膚科にでもあるわけではないので、希望の場合は担当医に相談してみてください。こちらも治療は数回かかる可能性があります。
つまみ取る治療、これがけっこう痛い!!
最もポピュラーなピンセットでつまみ取る治療。つまみ取る痛みを20回、30回と繰り返すのは大人でもなかなか辛いものがあります。
そのため、病院によっては表面麻酔のテープやクリームで痛みを最小限にして治療をしている施設もあります。私も麻酔のアレルギーがないお子さんには麻酔テープ、クリームを使用して、なるべく痛みが少なくなるようにしています。
麻酔テープやクリームを使用後、30分〜60分程度経ってから処置をすると、だいぶ痛みが少なく、人によっては無痛で処置できます。ただし、汗でシールが剥がれたり、クリームが流れてしまうと効果は半減してしまうので、治療まで涼しいところで汗をかかないように待機することをお薦めします。
ピンセットでとったところは点状の小さい傷になりますが、意外に治療後の痛みは少なく、シャワーで汗を流し清潔にしておけば数日で治るので安心してください。
あなたは水いぼを取る派?取らない派?
最近では「水いぼ」は放っておいても、いずれ半年〜数年で自然に自己免疫で治る可能性があるため積極的に取らなくても良い。という考え方もあります。実際に、大人の「みずいぼ」は外来ではほとんど遭遇しません。(稀にお子さんから感染してしまう保護者の方もいますが・・・(^_^;))これはポックスウィルスに対する免疫がついたためです。
実際、「水いぼ」があってもプールは問題ない。と私は考えています。
また、数個程度であれば、特に治療せず様子をみていても良いと思いますが、5個が10個、20個と日に日に増え続けるお子さんは、「水いぼ」自体にかゆみを感じて掻きこわして、さらに広げてしまうこともありますから、そういう場合は取ることも選択肢として保護者の方に伝えています。
今まで一番「水いぼ」が多く出来ていたお子さんは、100個を超えるほど増えてしまっていました(>ω<)
「水いぼ」の予防方法はあるの?
第1は「保湿」です。
「水いぼ」が伝染りやすい方はとにかく乾燥肌の人が多いのです。夏であっても皮膚表面をしっかり保湿することが必須です!
第2は湿疹、あせものケア
皮膚に痒みがあると掻きこわします。それによってポックスウィルスがいろいろなところに散らばり、皮膚に感染してしまいます。皮膚表面を清潔にして、必要があれば炎症を抑える外用剤を塗布しましょう。
また、爪を短くすることも大事です。万が一の掻きこわしの被害を最小限にすることが大切です。
第3はラッシュガードなどの着用
どうしても感染したくない人は、長袖のラッシュガードを着用することで、ウィルスと接触する機会を減らしましょう。
第4はしっかり洗浄
プールに入った後などは、しっかりと体の表面を流しましょう。表面に付着したウィルスもそれで落とすことが出来ます。
「水いぼ」を取ってしまおう!と決断したお父様・お母様へ
治療の時にお願いしたいことがあります。
処置をするときに、最初から力いっぱい押さえつけようとしないこと。
子どもにとって、病院は怖いところであることが多いのです。今日は何をされるのか・・・。と恐怖を感じている場合もあります。信頼している家族に力づくで押さえつけられることで恐怖がさらに増してしまいます。
焦らず、優しく声をかけながら処置を開始してみましょう。麻酔のお影で痛みがないことがわかれば、意外とじっとしていてくれるお子さんも多いですよ。あとは、私たちに任せて下さい。ご家族は頑張った子どもたちに労いの言葉をかけていただければ十分です(^^)