こんにちは。秋葉原スキンクリニックの堀内です。
病院で支払っている治療代。「毎回いくらかかるかわからなくて不安・・・。」「何にいくらかかっているのかわかりづらい・・・。」などなど、病院での支払いに??(ハテナ)がいっぱいの方もいらっしゃると思います。
日常、レストランやショップなどで金額を知らずに注文したり購入したりすることは少ないと思います。でも、病院、特に保険診療の場合、費用を予め知っていて受診することはあるでしょうか。
外来で手術のご相談にいらした方々に「いったいいくらかかるの?」と質問されることが多々あります。また、再診の方に新しいお薬を処方する際に「今日の支払いはいくらになるの?」と聞かれることもあります。
このような疑問に少しだけでもお答えできるかな。と思い、今回は「意外と知らない医療費」、主に皮膚科の医療費についてお話させていただきたいと思います。
保険証は保険診療を受ける資格証
みなさんが医療機関を受診する時、まず保険証を提示しますよね?
それはどういうことかというと、「その人は保険診療を受ける資格を持っている」ということを医療機関に伝えるためなのです。
もし保険証を持っていない場合、保険診療を受ける資格を持っていない。とみなされてしまい、医療費の全額負担をしなくてはなりません。
なんで毎月保険証を見せなくてはいけないのだろう?面倒くさいなあ・・・。と思う方も多いと思います。実際私もこの仕事に就く前はそう思っていました。
多くの方は保険証はずっと同じものをもっていると思いますが、転職をされたり、結婚などで名字が変わって保険証の内容が変更になるような場合もあります。
このような場合、新しい情報を医療機関に伝えず(新しい保険証を提示せず)過去に登録された情報のまま診療を受けるとどうなるかというと、窓口負担の3割の残り、すなわち7割分の医療費は医療機関に支払われなくなります。この場合、医療機関より保険証の発行元へ連絡が行き、そちらから7割の請求がご本人にいくような事態になることもあります。
このような事にならないように、保険証は都度新しい情報に変更し、保険診療を受ける資格を継続しなくてはなりません。
この保険証を提示して行われる医療の価格は国が決定していて、2年に1回見直しされています。
国が決定していますから、北海道から沖縄まで全国同じ金額になります。(ただし、施設の規模などによって一部金額が違う項目があります。)
初診料や再診料は年齢や受診時間によって違うって知ってた?
初診料
- 6歳以上
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- 時間内 282点(2,820円)
- 時間内(夜間・早朝)407点(4,070円)
- 時間外 482点(4,820円)
- 6歳未満
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- 時間内 357点(3,570円)
- 時間内(夜間・早朝)332点(3,320円)
- 時間外 367点(3,670円)
再診料
- 6歳以上
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- 時間内 72点(720円)
- 時間内(夜間・早朝)122点(1,220円)
- 時間外 137点(1,370円)
- 6歳未満
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- 時間内 110点(1,100円)
- 時間内(夜間・早朝)160点(1,600円)
- 時間外 207点(2,070円)
※患者様負担は上記の1~3割です。
平日の診療時間内でも、夜間(18~22時)や早朝(6~8時)の時間帯に、診療所で診察を受けた場合は「夜間・早朝加算」50点(500円)が上乗せされます。
例>19時まで診療している診療所に18:30時に行った場合この上乗せ料金が追加されます。
ちなみに土曜日は12~22時・6〜8時、日曜日は6~22時に受診した場合にも加算されます。
皮膚科手術の費用について
皮膚科は塗り薬を処方するだけではありません。ほくろ・粉瘤などの皮膚の良性腫瘍から、メラノーマなどの悪性腫瘍、様々な皮膚の出来物を手術で切除することもしています。
今回ここでは外来で切除することの多い皮膚の良性腫瘍(ほくろや粉瘤など)の費用についてお伝えしたいと思います。
皮膚科の手術はその治療部位と大きさによって費用が異なります。
手術費用は「露出部」と「露出部以外」に分けて決められています。
露出部とは、頭部(顔面も含む)、頸部(首)、肘下〜指先、膝下〜足の指先のことを指します。それ以外はすべて露出部以外となります。
皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) | 長径2cm未満:1,660点(16,600円) |
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皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) | 長径2cm以上4cm未満:3,670点(36,700円) |
皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) | 長径4cm以上:4,360点(43,600円) |
皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) | 長径3cm未満:1,280点(12,800円) |
皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) | 長径3cm以上6cm未満:3,230点(32,300円) |
皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) | 長径6cm以上12cm未満:4,160点(41,600円) |
皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外) | 長径12cm以上:8320点(83,200円) |
※患者様負担は上記の1~3割です。
イボの処置
手や足にできるウィルス性のイボは皮膚科ではとてもポピュラーな疾患です。
通常、外来でよく行われる処置は「液体窒素凝固術」と呼ばれる処置で、液体窒素をスプレーや綿棒で患部に当て、凍らせて組織を破壊することで治療します。
液体窒素凝固術 | 3箇所以下 200点(2,000円) |
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4箇所以上 250点(2,500円) |
この治療は1〜2週間に1回、1箇所につき数回の処置を行うことが多いです。
※患者様負担は上記の1~3割です。
ウオノメ・タコの処置
ウオノメやタコが痛くて辛い思いをしている方。実は皮膚科で処置ができるのです。
ウオノメやタコはカミソリやメスなどで削り痛みを緩和する「鶏眼・胼胝処置」が行われます。
鶏眼・胼胝処置 | 150点(1,500円) |
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※患者様負担は上記の1~3割です。
こちらは月に1回程度の処置となります。
場合によってはイボと同じように液体窒素を当て、ウオノメの芯をとる処置をすることもあります。
ニキビの処置
ニキビの処置には「面ぽう圧出」というものがあります。特殊な道具でニキビの中にたまった膿や角栓を圧出することで炎症を早く落ち着かせることが出来ます。
面ぽう圧出 | 49点(490円) |
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※患者様負担は上記の1~3割です。
通常1回の処置で数個のニキビを圧出しますので、すべてのニキビを1回の処置で圧出出来ないこともあります。
稗粒腫(はいりゅうしゅ、ひりゅうしゅ)の処置
稗粒腫という目の周りなどにニキビとは異なる1−2mmの白いプツプツが出来ることがあります。この脾粒腫は押し出そうとしても皮膚で完全に覆われてしまっており出てきません。細い針で皮膚表面に傷が残らない程度の小さい切開をいれて取り出すことが出来ます。
稗粒腫摘除 | 10個未満 74点(740円) |
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10個以上 148点(1,480円) |
※患者様負担は上記の1~3割です。
水いぼの処置
水いぼ(伝染性軟属腫)はお子さんによく出来る皮膚の病気です。ポックスウィルスというウィルスの感染症。
過去の記事も御覧ください。
特殊なピンセットで水いぼの発疹の中になるウィルスの塊を取り除く処置をします。
軟属腫摘除 | 10個未満 120点(1,200円) |
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10個以上30個未満 220点(2,200円) | |
30個以上 350点(3,500円) |
※患者様負担は上記の1~3割です。
水虫の検査
以外に多い水虫女子。私には関係ないわ〜。と思っている方の足にも水虫があるかもしれません。
「水虫は痒い」というのは一部正しく、一部違います。水虫に感染していても痒みをまったく感じない方もたくさんいます。
足の裏の皮膚が怪しくめくれていたり、指の間がじくじくしたり、小さい水ぶくれが出来ていたり、爪が白く変色している場合は皮膚科での水虫検査をおすすめします。
この水虫検査は、めくれている皮膚の一部や水ぶくれの内容液や爪の一部をピンセットや医療用のハサミで取り、プレパラートにのせ顕微鏡で見る検査です。
水虫は白癬菌というカビの一種が原因で、顕微鏡で除くと糸のような長い菌として見つかります。
気軽に出来る痛みもほぼない検査ですので、心配のある方は皮膚科に相談してみてください。
※患者様負担は上記の1~3割です。
アレルギーの検査
血液検査でアレルギーの大まかなチェックが出来ます。
アレルギー検査にはスギ、ヒノキ、ハウスダスト、ダニ、小麦、大豆などなど多数の項目があります。
最近ではこれらの項目を一つずつ選ぶのではなく、39項目が1セットになって割安に検査できるものが出来ました。
ビュー39という検査で、血液を採るだけで検査ができます。
ビュー39 | 検査実施料1,430点(14,300円) |
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判断料 144点 (1,400円) |
※患者様負担は上記の1~3割です。
ビュー39の詳細は、ヤケヒョウダニ、ハウスダスト1、ネコ皮屑、イヌ皮屑、ゴキブリ、ガ、スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、ヨモギ、アルテルナリア、アスペルギルス、カンジダ、マラセチア、ラテックス、卵白、オボムコイド、ミルク、小麦、大豆、ソバ、ピーナッツ、米、ゴマ、エビ、カニ、キウイ、リンゴ、バナナ、鶏肉、牛肉、豚肉、マグロ、サケ、サバ です。
パッチテスト
金属アレルギー、ラテックスアレルギーなどなど、カブレや全身のアレルギーの原因を突き止めるために行われます。
背中や二の腕の内側に調べたいものを貼り付け、2日ほどおいてから判定を行います。アレルギーの可能性がある物質を貼った部分に赤みや湿疹の反応が出現した場合、陽性と判断します。
パッチテスト | 21箇所以下の場合 1箇所につき16点(160円) |
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22箇所以上の場合 350点(3,500円) | |
薬剤費 | パッチテストパネル(S)というものを使用した場合1,588点(15875円)加算されます。 ※その他の薬剤は各々の施設にお問い合わせください。 |
※患者様負担は上記の1~3割です。
パッチテストパネル(S)は日本人で陽性になることが多い物質をチョイスしてシール状の製剤にした商品です。ニッケル、ラノリンアルコール、フラジオマイシン硫酸塩、重クロム酸カリウム、カインミックス、香料ミックス、ロジン、ペルーバルサム、金チオ硫酸ナトリウム、塩化コバルト、p-tert-ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、カルバミックス、黒色ゴムミックス、イソチアゾリノンミックス、メルカプトベンゾチアノールパラフェニルレンジアミン、ホルムアルデヒド、チメロサール、チウラムミックス の24種類を調べることができます。
薬の処方料について
普段、お薬をもらう際に、受け取る明細書の中身を確認することはありますか?
明細書を見てみると「点数」と「価格」が表示されています。
この点数のことを「調剤報酬点数」といい、この点数をもとにお薬代を計算しています。
薬を処方する場合、大きく分けて院外処方と院内処方という方法があります。院外処方の場合は病院が発行する「処方箋」を持って院外薬局で薬をもらいます。
この「処方箋」を発行する際に請求されるものが「処方せん料」。基本的には68点(680円)ですが、7種類以上の内服薬が同時に処方される場合は40点(400円)となります。
※院外薬局での支払いは、上記以外に「調剤技術料」、「薬学管理料」、「薬剤料」、「特定保険医療材料料」の4つの項目の合計となります。
では院内処方の際はどのようになるのでしょうか。院内処方の場合は通常42点(420円)。7種以上の内服が同時に処方される場合は29点(290円)となります。ここに、調剤料というものが、内服の場合9点(90円)、外用の場合6点(60円)加算されます。
この他に薬そのものの価格が加わり、最終的な支払額が決定します。
※患者様負担は上記の1~3割です。
まとめ
皮膚科でできる保険処置や検査の費用をあらかじめ知っておくことで、「今日はいったいいくらかかるのだろう?」という不安が、なんとなく解消されませんか?
ご自分が持っている保険証の意味を知り、支払い内容をきちんと把握して治療をしていくことは大事なことだと思います。
これから、明細書をきちんとチェックしてみましょう!