みなさんこんにちは。秋葉原スキンクリニックの堀内祐紀です。
夏に近づくにつれて毎年悩まされる虫刺され。
逃げても逃げても抜足差し足で近づいてくる蚊たち。
なんだかかゆいな〜。と見てみると、ぷくっと皮膚が赤くなっているのを見て「やられた〜っ!!!!」と思ったことはありませんか?
蚊に刺された後、みなさんはどうしてますか?
爪で十文字に跡をつけて、なんだか痒くなくなったかも・・・。とか。がりがり痛くなるまで掻いて、はぁスッキリ。などとやってませんか?
今回はカ(蚊)刺症のいろいろについてお話しさせていただきます。
O型は蚊に刺されやすい??
昔からまことしやかに巷で噂されている「O型は蚊に刺されやすい」という噂。これはいったい本当なのでしょうか?
血液型順にO>B>AB>Aという順番で蚊にさされやすい。という研究結果があるようですが、実はこれは科学的根拠が解明されているわけでは無いようです。
蚊に刺されやすい人のタイプ
①体温が高め
②炭酸ガスを排出しやすい人(肺活量が多い運動する人など)
③汗っかきの人
④黒っぽい服を着ている人
こんな人を虎視眈々と蚊は狙っています。みなさんご注意ください。
蚊に刺されてすぐ痒くなる人、ならない人
蚊に刺されたとき、こんな不思議なことを体験したことはありませんか?
腕に蚊が着地。この憎っくき蚊めっ!!パチンっ!!!
とやっつけた直後、時すでに遅くピンク色に皮膚が丸く盛り上がりとても痒かったのに、1〜2時間ですっかり症状が治ったのでほっとしていると、翌日あたりに同じ場所がまた痒く赤く硬く腫れていた。
これは蚊が血を吸うときに注入された蚊の唾液腺物質に対するアレルギー反応で、最初のピンク色に盛り上がる反応を「即時型反応」、1〜2日後に赤く硬く腫れてくる反応を「遅延型反応」と呼びます。
即時型反応 | 遅延型反応 |
この「即時型反応」と「遅延型反応」は面白いことに、一生同じように反応するわけではありません。
生まれたばかりの赤ちゃんは蚊に刺された経験が無いので無反応。だんだん蚊に刺される経験をすると、乳児〜幼児期には遅れて出てくる遅延型反応だけが出てきます。さらに幼児〜青年期になると即時型反応、遅延型反応がともに出てきます。さらにさらに蚊に刺され続けると、遅延型反応が出にくくなり、即時型反応のみが出ます。そして、さらにさらにさらに刺されていくととどうなるでしょうか・・・。実はほとんど無反応になります。
老人になると蚊に刺される経験が重なり、反応しなくなるのです。
小さい吸血鬼 蚊について知ろう
人を刺して血液を吸う蚊は1種類ではありません。アカイエカ、ヒトスジシマカ、多種のヤブカ、ヌカカなどがあります。
アカイエカはイエカ属の代表選手。夜に血を吸うので、寝ている時に刺された場合、多くはこの蚊が犯人かもしれません。これの仲間でコガタアカイエカは日本脳炎ウィルスを媒介します。
体に白いストライプ模様があるのはヒトスジシマカ。この蚊はヤブカ属の代表選手で、寒い場所にはあまりいない種類です。日本に入ってきた「デング熱」の原因ウィルスをこの蚊が媒介することでも有名です。日中に活動します。
ちなみに、ヤブカ属とイエカ属では蚊の唾液腺物質が異なるため、ほとんど刺されたことのない属の蚊に刺された場合、症状が軽く済むことがあります。
放っておくと足が黒い水玉に・・・。カ(蚊)刺症の後に残る色素沈着
夏は素足を出している女性たちがたくさんいますよね。足元を見ると、たくさんの黒ずみが斑点のようになっている人をよく見かけます。
きっと虫刺されを放っといたんだな〜。と、それを見ながら治療したい衝動を抑え、見て見ぬ振りをする私。
せっかくおしゃれをして、ペティキュアをしているのに、足が黒い斑点だらけではポイントダウンです。
蚊に刺されたとき、治療せず放っておく方がたくさんいると思いますが、絶対早く治療をした方が良い部位があります。
それは、膝下。
ここを虫に刺されると、他の部位より色素沈着のリスクが高いのです。もともと冷えやすく、傷などができたときに治りにくい部位なので、蚊に刺されたときも同様で、色素沈着が強く出たり、長引いたりします。
蚊に刺されたときの治療法
蚊に刺された場合、多くの場合は放っておいてもかゆみは治ります。ただ、痒くてかき壊してしまいそうな人(我慢のできない子供など)、虫刺されの痕を残したくない人は即座に炎症を抑える外用剤をつけることをお勧めします。つけるタイミングが早ければ早いほど、炎症が軽く済みますので、かゆみが引いた後の色素沈着が少なくなります。
よく目にするスーッとするかゆみ止めでも良いのですが、私はすぐにステロイド軟膏を塗布します。特に虫刺されは急激で強い炎症ですから、軽めのステロイド軟膏よりもやや強いものがお勧めです。症状が強いときは皮膚科の受診をお勧めします。
また、ステロイドが含まれた外用剤は薬局でも購入可能です。病院に行くほどではないけど早く炎症を抑えたい方は、薬局で薬剤師さんに相談してみてください。
他には、温まるとかゆみが悪化してしまうので、かゆみが強い時は熱いお風呂に長時間入ることは避けた方が無難です。たまに、熱いお湯をかけると痒くなくなる。という方がいるのですが、その後にかゆみがさらに悪化してしまうことがあるので要注意です。
夜、痒くて寝られないときは、保冷剤をタオルで包んで冷やしながらだと少し楽になります。(凍傷のようになることがあるので、直接保冷剤を皮膚に当てることは避けてください)
万が一色素沈着になってしまったら?
去年の虫刺されの痕が残ってしまっている。早く薬を塗ったけど痕が残ってしまった・・・。
そんなときには美白ケアをしてみましょう。
お勧めはピーリング効果のあるローションや皮膚の新陳代謝をあげるレチノールのクリーム。それからメラニン色素を薄くする効果が期待できるハイドロキノンのクリーム。その他にもビタミンC、トラネキサム酸、抗酸化作用が強いビタミンEの成分を飲んだり塗ったりするのもお勧めです。
市販で購入できるものもありますし、濃度が高く効果が早いものを試したい場合は病院で相談してみてください。
たかが蚊。されど蚊。蚊は痒いばかりでなく、いろいろな病気を運んでくることもあります。そして、色素沈着など、美容的にもよくないことを引き起こします。
まずは、蚊に刺されないように日々の生活の中で注意をしてください。万が一刺されてしまったときは放置せず、早めのケアをお勧めします。